平成ABCトリオの、「C」にあたる車種である。
(Aはマツダ・AZ-1)、(Bはホンダ・ビート)
1991年10月発売。
フロントエンジン・リアドライブ(FR)を採用した軽自動車の枠で、
現実性を考慮した上でスポーツ性能を追求したスズキのフラッグシップモデルとされる。
1989年の東京モーターショーに参考出品し、
当時の鈴木修社長(後に会長)が「発売する」と表明していた。
初期の日産・フェアレディZなどにも見られるロングノーズ・ショートデッキのスポーツカースタイルを採用し、
ルーフは3ピース構成で取り外せばトランクに収納できるため、
フルオープン、タルガトップ、Tトップの3つの形態を選択できる。
同時期に市販されていた軽自動車のスポーツカーの中で唯一のFRレイアウトで、
フロントアクスルより後部にエンジンの重心を位置させるフロントミッドシップを目指し、
フロント51対リア49という重量配分を実現している。
またエンジン縦置きで生まれた左右スペースを活かし、
軽自動車初の4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用していた。
車体剛性の確保には、プロペラシャフトを通すセンタートンネルと、
大きな断面積を持つサイドシルを利用しており、
車内容積については「世界一居住空間の狭い車」と表現した自動車雑誌もあった。
ボディーやルーフの各所にはアルミニウムを使用し、純正装着品としては日本最軽量となる
14inchアルミホイールも用意されるなどの軽量化も行われている。
ブレーキは4輪ディスクで、フロントにはベンチレーテッドタイプを採用し、
オプションでABSやトルセンAタイプLSDも装備が可能だった。
1995年5月にはマイナーチェンジを受け、
オールアルミニウム化されたK6A型エンジンと16ビット化されたECUを搭載、
最大トルクが10.5kgf・m/3,500rpmになった。
またエンジンのオールアルミ化やホイールの軽量化などによって
前期モデルより10kgの軽量化を遂げた。
当初は5速MTのみの設定だったが、このときのマイナーチェンジにより
3速ATも選択できるようになっている。
1998年10月、バブル崩壊に伴うスペシャルティカー市場の低迷と
軽自動車の規格変更による車種再編に伴い、
セルボモードとともに車種整理の対象となり、生産を終了。
生産期間が7年間、総生産台数は26,583台であった。
なお、FRレイアウトの軽自動車は
後に限定販売された同社のジムニーのFR仕様を除くと現在、本車が最後である。
SUZUKI Cappuccino
(EA11R)
1993 (H 5)