COMPARISON





初代
RS型/S2#型/S3#型(1955年 - 1962年)
ロンドンからトヨペットで

1952年(昭和27年)から開発着手され、
1953年(昭和28年)から発足したトヨタ独特の「主査制度」で
マネージャー的立場に置かれた技術者の中村健也を主査として開発されたものである。
国外メーカーとは提携せず、米国車の各コンポーネントを手本としながらではあるが、
純国産設計で開発された。
スタイリングはトヨタの社内デザインで、
太平洋戦争後に高級車の象徴となったアメリカ車の影響が濃厚であった。
後部座席の乗り降りしやすさを重視した、
観音開きのドアが車体構造上の特徴である。
エンジンは1953年(昭和28年)に先行登場したトヨペット・スーパーから流用された
水冷直列4気筒OHVのR型を採用し、
排気量は1.5 L、出力は48 PSであった。
コラムシフト(リモートコントロール式と称した)の3速手動変速機は、
2、3速にシンクロナイザーを装備した。
公称最高速度は100 km/h。
従来のトラックなどと共通の汎用フレームに代わる、
低床の乗用車専用シャシを開発した。
サスペンションは、フロントがコイルスプリングによるダブルウィッシュボーン式の独立懸架、
リヤはリジッドアクスル(固定車軸)を半楕円リーフスプリングで吊る車軸懸架方式である。
この時代の日本は道路の舗装率が低く、
また、補修も追いつかない状況であったことから、
日本製乗用車で独立懸架の採用はほとんどなく、
トヨタでも1947年(昭和22年)のトヨペット・SAで採用したが不成功で、
その耐久性が懸念されていた。
クラウンでは長期間の走行実験によりこれを克服し、
悪路に耐えうる水準の独立懸架を実現している。
また後車軸は固定車軸となったが、
東京大学教授の亘理厚らによる研究成果を活かし、
重ね板ばねの枚数を少なくして板間摩擦を減らすことで
乗り心地を改善した「3枚ばね」とした。
このためショットピーニングによるばね鋼の強化処理やショックアブソーバーの併用など、
以後、常識化した技術が導入されている。
トヨタ初の本格的なプレス製造による量産を行うため、
元町工場に当時最新鋭のアメリカ・ダンリー社製プレス機を14台導入した。
このプレス機は現在でもトヨタ産業技術記念館に展示されている。















2代目
S4#型(1962年 - 1967年)
クラウンによせられる信頼

新しい小型車規格に合わせ、先代より長く幅広いボディが与えられた。
スタイリングは当時のアメリカ車の影響を強く受けた「フラットデッキスタイル」と呼ばれるものであり、
1960年に登場したフォード・ファルコン(Ford Falcon)が直接の手本とされた。
「涙目」と呼ばれるテールランプと一体化したバックアップランプ、
トヨタの頭文字である「T」をモチーフとしたジュラルミン製のフロントグリルとリアガーニッシュが特徴。
フロントグリルに取り付けられる「王冠エンブレム」はこの世代のデザインのものが、
11代目まで長らく使用された(12代目以降、一部手直しを受けている)。
一方性能面では、
高速道路整備が始まった「ハイウェイ時代」に対応できる自動車としての根本改良が図られた。
シャシは初代の低床式梯子形から、より剛性の高いX型プラットフォームフレームとなったが、
このレイアウトのシャーシフレームは1957年にゼネラルモーターズがキャデラックに導入、
翌1958年にはポンティアックとシボレーにも採用していたもので、
1960年代中期にペリメーターフレームに変更されるまで続いた。
フォード類型のスタイリングと並び、
メカニズム面でもアメリカ車の影響がいまだ強かったことをうかがわせる。
エンジンは直列4気筒OHVの3R型(1.9 L)を引き続き搭載したが、
エンジンルームは当初から直列6気筒エンジンの搭載が容易な設計とされていた。
直列6気筒のM型エンジン(トヨタ初のSOHCエンジンでもあった)搭載車は、
1965年11月に発売されている。
バリエーションはセダン(RS40/RS41)に加え
「カスタム」と呼ばれるワゴン(RS46G)が加わり、
いずれにも半自動トヨグライドが設定された。
カスタムはS40系マスターラインのバンと車体を共用していたが、
内装を乗用車と同等とし、
荷室に2名分のジャンプシート(床収納式の補助座席)を備えていた。
第1回日本グランプリでは多賀弘明がクラス優勝している。
韓国の新進自動車(現:韓国GM)でもノックダウン生産されており、
新進による生産はその後「クジラクラウン」まで続くこととなる。
この代から、CMキャラクターに俳優の山村聰が起用され、
4代目の発売時を除いて1983年の6代目まで、長年に渡り続いた。















3代目
S5#型(1967年 - 1971年)
白いクラウン

先代よりも低く、長くなったスタイリングは「日本の美」をテーマとしたもので、
トヨタ自動車工業が前年に完成させたデザイン・ドームから生まれた最初の車種である。
この代から、その後、歴代のクラウンにおいて長年伝統となったペリメーターフレームが初めて採用された。
ペリメーターフレームはこの直前からGMが広く採用した方式である。
これによって床が低くなり、曲面ガラスの採用とあいまって居住性が向上している。
また静粛性向上策として、遮音材の多用をはじめとした各種対策を施し、
広告でも車内の静かさを強くアピールした。
先代をもってマスターラインは廃止され、
商用車系(バン、ピックアップ)にもクラウンの名が与えられるようになる。
「バン」とステーションワゴンの「カスタム」は共通の車体であったが、
内外装、装備、最終減速比の差の他、バックドアでも差別化が図られている。
リヤウインドウはどちらも昇降式であるが、
バックドアはバンがピックアップと同様の下開きであるのに対し、
カスタムでは右側にヒンジのある横開きとされた。
さらに、荷室にジャンプシート(床収納式の補助席)が設けられ、8人乗りとなっている。
グレードは
M型エンジン搭載車が「クラウンS」、「スーパーデラックス」、「デラックス」、「オーナーデラックス」、「スタンダード」、
5R型エンジン搭載車は「オーナースペシャル」、「スタンダード」という構成で、
完全に6気筒モデルが中心となった。
スーパーデラックスには電磁式トランクオープナーや完全自動選局式AM/FMラジオ、
音叉時計、後席専用の読書灯、防眩ぼかし入りフロント合わせガラスといった豪華装備のほか、
安全装備としてヘッドレストが採用されている。
また、新設された「オーナーデラックス」は個人ユーザー層をターゲットとしたグレードで、
デラックスに準じた内外装や装備を持ちながら、
88万円(東京・大阪店頭渡し)という、当時の高級車としては低廉な価格が設定された。
販売面では、公用車や社用車向けと言ったイメージからの脱却を図るべく、
クラウンを自家用車として使用する個人ユーザー層へ向けた広告展開が行われる。
1965年に車体色に関する規制がなくなったことを受け、
「白いクラウン」のキャッチフレーズと共に、
洗練された高級感を想起させる白をテーマカラーとした「オーナーデラックス」と、
クラス初、クラウン初となる2ドアハードトップをイメージリーダーとして訴求するキャンペーンが実施された。















4代目
S6#/7#型(1971年 - 1974年)
エレガンツ・クラウン-世界が見つめる

ボディバリエーションは4ドアセダン、2ドアハードトップ、カスタム(ワゴン)、バンの3種となった
(車両型式はハードトップがS7#系、それ以外がS6#系)。
このモデルからは「トヨタ・クラウン」となる。
「スピンドル・シェイプ(紡錘形)」と呼ばれる、
丸みを帯びたスタイルから「クジラ」の愛称を持つ。
三角窓を廃して曲面を多用した車体や、
バンパーをボディー同色としたカラードバンパーの標準装備を特徴とする、
斬新で革新的なスタイリング(渚徹の作によるもの)が、登場当初は歓迎された。
しかし、ボディー先端を絞り込んだデザインによってエンジンルームへの通風が不足し、
夏季にオーバーヒートが続発したことや、ボディーの先端形状の見切りの悪さから、
取り回しに支障が出たことによる不評が相次いだ。
これらが要因となって、
同時期にモデルチェンジしたセドリック/グロリアに販売台数で逆転されたことから
「クラウン史上唯一にして最大の失敗作」と紹介されることが多いものの、
「スピンドル・シェイプ」のスタイリングは、「クジラ」の愛称とともに、現在でも根強い人気を持つ。
この代からは、
セダン・ハードトップの両方に「スーパーサルーン」が最上級グレードとして新たに設定された。
その他は先代を引き継ぎ、
「スーパーデラックス」「デラックス」(セダン・ハードトップ共通)「オーナーデラックス」(セダンのみ)、
「SL」(当初はハードトップのみで、マイナーチェンジ時にセダンにも設定された)
「ハードトップ」というグレード構成となった。
またバンにも「デラックス」が設定されている。
装備面ではオプションとして
後輪ESC(現在のABS)・EAT(電子制御式自動変速機)が「SL」に設定されたほか、
オートドライブを「SL」「スーパーサルーン」「スーパーデラックス」にオプション設定したこと、
VIP顧客向けに電動リクライニング式リアセパレートシート
(このオプションを選択した際は、リアシートが3人掛けから2人掛けとなる)が
採用されたことが挙げられる。
さらに、世界で初めてアイドリングストップ機能が搭載され、
EASS(Engine Automatic Stop and Start System)の名で
MT車にオプション設定された。
また、歴代クラウンでは唯一、ボディーカラー名には
「墨花(ぼくか:ブラック)」「白鳳(はくほう:ホワイト)」「荒磯(あらいそ:ブルー)」と、
センチュリーと同じように漢字の名称を使用した。
広告などで使用されたカタカナ表記の『クラウン』ロゴは、
この代から8代目のS13#型まで同じ書体を使用していた。
また、14代目(2018年生産終了)まで使用されて来たCピラーのクラウンエンブレムが
最初に登場した世代でもある。
テレビドラマ『素敵な選TAXI』では、
本形式のマイナーチェンジ後のセダンが『選TAXI』に起用されている。















5代目
S8#/9#/10#型(1974年 - 1979年)
美しい日本のクラウン

失敗作であった先代の曲線基調から、
直線基調の重厚感を強調したスタイリングに改められ、
キャッチフレーズも「美しい日本のクラウン」(1974年型)、
「美しい日本の新しいクラウン」(1976年型)と、
保守的なイメージをより強調するものとなった。
ボディバリエーションはこれまでの4ドアセダン、2ドアハードトップ、ワゴン、バンに加えて、
「4ドアピラードハードトップ」が加わった。
2ドアハードトップと共通するデザインを持たせながらも、
センターピラーを残すことで安全性に配慮。
この代からセダンは法人ユーザー向け、
4ドアピラードハードトップ、2ドアハードトップは個人ユーザー向けという
また、2.6 L車の最上級グレードに
「ロイヤルサルーン(Royal Saloon)」のグレード名が初めて与えられた。
同時期の国産他車種の例に漏れず、排ガス規制に翻弄されたモデルである
(車両型式も初期のうちはハードトップがS9#系、それ以外のモデルがS8#系であったが、
排ガス規制に適合するうちにボディータイプに関係なくS10#系に統一されていった)。
4輪ディスクブレーキの新採用(2600ロイヤルサルーン)、車速感応式パワーステアリング、
世界初のオーバードライブ付き4速オートマチックなどの新装備が設定された。
なお、先代から設定されたESC(ABS)は新設計となり、
作動時のフィーリングを向上させている。
なおタクシー用の「スタンダード」は、
当時まだ大型であったタクシーメーター対応インパネで、
スピードメーターの左隣にタコグラフがビルトイン装着可能。
吊り下げ式クーラーがオプション設定。
カタログなどで使用された英字表記の『CROWN』ロゴは、
この代からS170系まで同じ物が使われた。















6代目
S11#型(1979年 - 1983年)
美しい日本の新しいクラウン

キャッチコピーは
「日本の薫り」、「クラウンは人を語る」(1979年型)、「ちょっと誇らしく」(1981年型)。
スタイルはより直線的でスタイリッシュなイメージとなった。
2800 cc車には、4代目のS6#型以来となるカラードバンパー(衝撃吸収式)が装備され、
デザイン面でのアクセントとなった。
運転席パワーシート、クルーズコンピューター、
電子チューナー搭載オーディオなどの先進的な設備も採用され、
「トーニング」と呼ばれる2トーンのボディーカラーも設定された。
威圧感の有るフロントマスクから「鬼クラ」の愛称でも親しまれた。
初期型のヘッドライトはハードトップが異型2灯式、
セダン(スタンダードは除く)ワゴンは角型4灯式、
セダンのスタンダード、バンは丸型4灯式。
2ドアハードトップはこの世代を最後に廃止される。
また2ドアハードトップには、
ルーフ後部をレザー貼りとしたランドウトップがオプション設定されていた。















7代目
S12#型(1983年 - 1987年)
いつかはクラウン

ボディバリエーションは2ドアハードトップが廃止され、
4ドアハードトップ、4ドアセダン、ワゴン、バンの3種類となる。
セダン・4ドアハードトップ共に、先代のS11#型をより洗練させ、
曲線を取り入れたデザインと
「クリスタル・ピラー」と呼ばれるCピラー周りの樹脂処理がスタイリングの特徴である。
4ドアハードトップはドアミラー、セダンはフェンダーミラーを採用した。
石坂浩二のCMナレーションによる「いつかはクラウン」のキャッチフレーズは、
このモデルで使用されている。
小型自動車の寸法要件が改正された
(前端オーバーハング0.8 m以下
+軸距2.7 m以下
+後端オーバーハング1.2 m以下→全長4.7 m以下)ため、
このモデルよりホイールベースが延長されている。
4ドアハードトップ・セダン共に、
最上級グレードとして「ロイヤルサルーンG」が設定される
(搭載エンジンは5M-GEU(2.8 L)で形式はMS123)。
また5ナンバー車にも、2.0 Lの1G-GEUを搭載した「ロイヤルサルーン」が設定され、
この3グレードには、
リヤサスペンションに独立懸架のセミトレーリングアーム式サスペンションが採用された。
また、2.0 Lの「ロイヤルサルーン」にはパッケージオプションとして、
スポーティータイプの足回りを持つ「Sパッケージ」も設定された。
特別仕様車として、前期型のみ「エクレール」が先代に引き続いて設定された。
さらにSパッケージと同等の足回りとフロントスポイラーを装備した
特別仕様車「アスリート(Athlete)」が登場、
マイナーチェンジ後(1G-GZEU)も特別仕様車として設定された。
LPG仕様の営業車モデルにも最上級グレードとなる「スーパーデラックス」が追加された。
海外向けには従来からセダンの最大排気量モデルが輸出されていたが、
中東・ガルフ地域へはハードトップもこの代から加わった。















8代目
S13#型(1987年 - 1999年)
満たされて、新しいクラウン

キャッチコピーは「満たされて、新しいクラウン。」(1987年型)、
「いつかはクラウンに、その想い、今こそ…」(1989年型)。
この1989年型のキャッチコピーにより、「いつかはクラウン」の略で「いつクラ」と呼ばれた。
4ドアハードトップのみに3ナンバー専用の「ワイドボデー」がラインナップ。
先代までのバンパーのみならずドアやフェンダーも3ナンバー車専用とした。
デザインは直線的な先代の面影を色濃く残しながらも、
Cピラーの化粧板(クリスタル・ピラー)がなくなり、曲線を巧みに織り交ぜたものとなった。
先代同様に個人ユーザー向けの4ドアハードトップはドアミラーが標準なのに対し、
法人ユーザー向けのセダンはフェンダーミラーが標準。
装備・技術面ではエアサスペンション(ロイヤルサルーンG)、トラクションコントロール、
CD-ROM情報によるカーナビゲーション機能を持ったエレクトロマルチビジョンなどが採用された。
グレードは、4ドアハードトップは「ロイヤルサルーンG」「ロイヤルサルーン」
「スーパーサルーンエクストラ」「スーパーセレクト」「スーパーエディション」。
セダンは「ロイヤルサルーンG」「ロイヤルサルーン」「スーパーサルーンエクストラ」
「スーパーサルーン」「スーパーデラックス」「デラックス」「スタンダード」。
ステーションワゴンは「ロイヤルサルーン」「スーパーサルーンエクストラ」「スーパーデラックス」。
2.0 L車のみ
スーパーチャージャー搭載のグレードが存在した(2000ロイヤルサルーン・スーパーチャージャー)。
インパネデザインはパーソナルインパネとフォーマルインパネの2種類があり、
前者が4ドアハードトップ、後者がセダンと4ドアハードトップのコラムシフト車で選択できた。
ホイールデザインは6種類あり、
上位2種類はアルミホイールでその他はスチールホイール。
ワイドボデーは全グレード15インチアルミホイール、
ロイヤルサルーン(ハードトップの5ナンバー及びセダン)が14インチアルミホイール、
その他は14インチスチールホイール(オプションで14インチアルミ装着可能)だった。
フロントグリルとリアのエンブレムは4.0 L車には「V8」、3.0 L車には「3.0」、
2.5 L車には「2.5」のエンブレムが付く。
2.0 L車には排気量のエンブレムは付かない。
海外輸出は、セダン系が主でアジア・中東・アフリカ向けにロイヤルサルーンが用意されたほか
香港・シンガポール・中東の一部の地域で
何れも4ドアハードトップ3000ロイヤルサルーンの輸出がある。
当時のバブル景気と販売時期が重なり、月間販売台数で一時カローラを上回る。
年間販売台数も、1988年 - 1990年は
日本車の販売ランキングでカローラ、マークIIに次ぐ第3位を記録し、
1990年は歴代・過去最高の23万9858台を記録した。
特に4ドアハードトップが人気で販売台数が多かった。















9代目
S14#型(1991年 - 1995年)
すべては、クラウン

キャッチコピーは「すべては、クラウン。」。
この代から全車3ナンバーサイズとなる。
この代から4ドアハードトップは「ロイヤルシリーズ」と呼ばれ、
アスリートLに代わるスポーティーグレードとして
「ロイヤルツーリング(Royal Touring)」が登場し、5速ATを搭載。
また、新たに上級モデルとして
先代の4000ロイヤルサルーンGから進化した
「クラウンマジェスタ(CROWN MAJESTA)」が発売され、
クラウン史上初のモノコックボディを採用。
引き続きハードトップにはオプションで、
マジェスタには標準で運転席エアバッグが装着された。
ロイヤルシリーズは従来通りフルフレーム構造。
セダン、ワゴン/バンについては、
先代の130系をマイナーチェンジして継続生産された、
このクラウンは歴代モデルで唯一窓枠付きのセダンが存在しない。
この代からフロントフェンダーにグレード名のエンブレムは付かなくなった。
グレードは、「ロイヤルサルーンG」「ロイヤルサルーン」「ロイヤルツーリング」
「スーパーサルーンエクストラ」「スーパーセレクト」。
先代まで存在した最廉価グレードの「スーパーエディション」は廃止された。
ロイヤルシリーズの初期型は、
先代モデルに比べて押し出し感を少なくしたデザインが不評であったことから、
4代目のS6#/7系以来の「失敗作」というレッテルを貼られ、
同時期に登場したY32型セドリック/グロリアに販売台数で苦戦を強いられていた。
また、近年はエコカー減税のスクラップインセンティブによる解体処分や
海外への中古車輸出により、
日本国内では希少な存在となりつつある。















10代目
S15#型(1995年 - 2001年)
美しく、走る

キャッチコピーは「美しく、走る。日本のクラウン。」。
この代からロイヤルシリーズにもフルモノコックボディーを採用。
これにより、先代モデルと比較して100 kg以上の軽量化となる。
保守的な流れを汲みながら運動性能の重視へと方針転換が明確に現れたモデルである。
3 L車は2JZ-GE(VVT-i)エンジン搭載。
ハードトップ(個人向け、その他)、セダン(法人・公用車、キャブ仕様、その他)の
フルラインナップ化(ロイヤルサルーンG-スタンダード)を果たす。
コスト削減が図られ、ロイヤルサルーンGにあったエアサスペンションは廃止され、
プラットフォームはマジェスタとともに90系マークIIのものと共用することとなった。
この代をもってピラードハードトップは最後になった。
グレードは「ロイヤルサルーンG」「ロイヤルサルーン」「ロイヤルツーリング」「ロイヤルエクストラ」。
主力となる4ドアハードトップはグレードが整理され、
廉価グレードは全て「ロイヤルエクストラ(Royal Extra)」に統一された。
海外輸出はセダン系が多い中で、
アジアの一部地域(香港・シンガポールなど)に少数のハードトップの輸出もある。















11代目
S17#型(1999年 - 2007年)
21世紀へ、このクラウンで行く

キャッチコピーは「21世紀へ。このクラウンで行く。」。
ボディ剛性をより向上させるため、1974年登場の5代目以来、
25年間続いた4ドアピラードハードトップがドアサッシュ(窓枠)を持つ4ドアセダンとなった。
スポーティードレスアップグレードに「アスリート」の名称がS13#型以来8年ぶりに復活し、
S12#型以来14年ぶりにターボ搭載車も加わった。
アスリートの登場によって2世代続いたロイヤルツーリングは廃止された。
ロイヤルシリーズが「ロイヤルサルーンG」「ロイヤルサルーン」「ロイヤルエクストラ」。
アスリートシリーズが「アスリートG」「アスリートV」「アスリート」。
アスリートVは280 PS / 38.5 kg-mを発生する2.5 L DOHCターボ。
ヘッドランプではロイヤルが従来のリフレクターとカット入りレンズとなる。
ディスチャージヘッドランプはアスリートに設定された。
1977年以来続いたディーゼルエンジン搭載車は消滅。
MT搭載モデルも民生/警察車両含めてこの代で消滅。
またステーションワゴンが新規開発され、
名称もクラウンエステートに改称(1999年12月から2007年6月まで販売された)。
2001年8月には42Vの電装系を搭載したクラウン マイルド ハイブリッドが発売された。
香港・タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシアなどに右ハンドル仕様の正規輸出実績がある。
クラウンセダンは2001年8月まで先代のS15#型が継続販売。















12代目
S18#型(2003年 - 2008年)
ZERO CROWN
かつてゴールだったクルマが、
いまスタートになる

「ZERO CROWN?かつてゴールだったクルマが、いまスタートになる?」(前期)
「そのクルマに終着点は無い。終わりの無い進化だけがある。ZERO CROWN、第2章。」(後期)
という広告でのキャッチコピーから、「ゼロクラウン」と通称される。
プラットフォーム、エンジン、サスペンションといった主要コンポーネントが刷新され、
プラットフォームは新開発のNプラットホームに、エンジンは長く使われた直列6気筒に代わり、
より静音性能、環境性能を高めたV型6気筒のGRエンジンに切り替えられた。
変速機は2.5 Lが5速AT、3.0 Lはシーケンシャルシフト付の6速ATが搭載された。
このモデルで採用されるNプラットフォームは、
マークX、クラウンマジェスタ、レクサス・GS(S19#型)でも採用されている。
スポーティーで流麗なスタイリングも大きな特徴となり、
長く続いたクラウンの保守的なイメージを一新するものとなった。
エンブレムの書体も変更されている。
月間目標販売台数は、「ロイヤル」と「アスリート」を合わせて5000台。















13代目
S20#型(2008年 - 2012年)
超えてゆく、ブランド

キャッチコピーは「超えてゆく、ブランド。」
月間販売目標は3シリーズ合わせて5500台で、うち800台はハイブリッドである。
従来の「ロイヤルシリーズ」は「ロイヤルサルーンシリーズ」となった。
これは廉価グレードであった「ロイヤルエクストラ」が廃止されたためである。
型式番号はS19♯がレクサス・GSであるためS20#型となる。
外観は先代の18#型のイメージを踏襲しつつ、よりシャープにさせた曲線的なデザインとなった。
リヤのエンブレムの配置も変更され、
6代目から12代目までは右側にCROWN、左側にグレード名だったが、
13代目から右側にグレード名、左側にCROWNという配置となった。
ディスチャージランプはプロジェクター化される。
リヤはバンパー・マフラーが一体化した構造を採用。
ハイブリッドモデルには、
世界初となる全面液晶パネルを使用した
グラスコックピットメーターの「ファイングラフィックメーター」が搭載された。
ロイヤルサルーンの4GR-FSE(2.5 L)車には、
東京都内の個人タクシー向けに、
後部プライバシーガラスを装備しない「Kパッケージ」(東京トヨペット管内のみ販売)がある。
また、ハイヤー向けには、
リヤパワーシートや助手席オットマン機能付シートを標準装備とした
「Hパッケージ」が設定されている。











14代目
S21#型(2012年 - 2018年)
CROWN Re BORN

2012年12月発売型のキャッチコピーは「CROWN Re BORN」。
シリーズは先代に引き続き2構成。
先代の「ロイヤルサルーンシリーズ」は
廉価グレード「ロイヤル」の新設に伴って「ロイヤルシリーズ」に戻されるとともに、
3.0 L車を廃止。
これにより、シリーズ最上級グレードの「ロイヤルサルーンG」も2.5 Lとなった。
「アスリートシリーズ」は
継続設定となった3.5 L車(「アスリートS」・「アスリートG」に設定)に組み合わされる「Super ECT」が
6速から8速に多段化され、パドルシフト付となった(同時にブリッピングも搭載)。
また、先代では独立シリーズとして展開していたハイブリッドモデルは
「ロイヤル」、「アスリート」両シリーズに設定される形で編入。
エンジンは排気量を3.5 L(2GR-FSE型)から2.5 Lにダウンサイジングし、
カムリに搭載されている2AR-FXE型をベースに
新世代直噴技術「D-4S」を搭載して直噴化、
縦置きとした新開発の直列4気筒・2AR-FSE型に変更
(4気筒エンジンは10代目の2.4 Lディーゼルで途絶えて以降、久々の採用となる。
また3.5 Lハイブリッドは後にマジェスタシリーズに搭載された)。
これに、
300 N・mの最大トルクを持つモーターを組み合わせた「後輪駆動車専用ハイブリッドシステム」としたことで
V6・3.0 Lガソリン車に匹敵する動力性能を持つとともに、
JC08モードにおける燃費性能を14.0 km/Lから23.2 km/Lに大幅向上。
さらに、顧客の拡大やハイブリッドカーのさらなる普及を視野に、
車両本体価格の大幅値下げを行った(540万円〜620万円→410万円〜543万円)。
先代からプラットフォームをキャリーオーバーし、
エクステリアは基本部分をキープコンセプトとしつつも、フロントマスクを刷新。
フロントはバンパーレベルまで回り込む大型のラジエーターグリルを全車に装着するが、
ロイヤルシリーズが車名の由来でもある「王冠」を意識してデザインされている反面、
アスリートシリーズはそれに加えて稲妻のような切れ込みを下部に加えることでスピード感を演出。
今までのクラウンから逸脱した仕上がりとなった、
また、ヘッドライトには両シリーズともLEDクリアランスランプを採用した。
インテリアには新たに「トヨタマルチオペレーションタッチ」が採用され、
エアコンや前席シートヒーター、全車に標準装備となる「ドライブモードセレクト」等を
全てここから操作できるようになっていると同時に、
運転席ドアオープン時にはグラフィックが点灯してドライバーを迎える「おもてなし演出」も搭載されている。
また、ハイブリッド車全車にはステアリングヒーターを標準装備としている。
また、下位グレードのロイヤルとアスリートはオーディオレスが標準となり、
ロイヤルサルーンとアスリートS(3.5 Lを除く)ではレス設定が可能になった
(2016年8月の一部改良でこの設定は廃止)。
先代ハイブリッドシリーズで採用されていたファイングラフィックメーターは今回は採用されていない。















15代目
S22#型(2018年 - 2022年)
CROWN BEYOND

キャッチフレーズは「CROWN BEYOND」。
14代目クラウンのユーザー層は50〜60代がメインであったが、
30〜40代の輸入車を好む比較的若い層にもクラウンを訴求するため、
「TNGA」に基づく「GA-Lプラットフォーム」を採用。
シャシーをニュルブルクリンクで鍛え上げて「走る・曲がる・止まる」といった車両性能を大きく進化させて、
スタイリングとともにスポーティなセダンとしての生まれ変わりが図られた。
また車載通信機DCMを全車に標準搭載し、「初代コネクティッドカー」を標榜している。
ボディカラーは、新しいお客様が付いてきてくれないという理由で、
先代で設定されたピンクなどの色は継続されなかった。















16代目
SH35型(2022年 - )
DISCOVER YOUR CROWN

2022年7月6日
同年7月15日に16代目モデルを世界初公開するとともに、
オンライン配信によるワールドプレミアを行うことを発表し、特設サイトが開設された。
2022年7月15日
16代目へのフルモデルチェンジを正式発表。
キャッチフレーズは「DISCOVER YOUR CROWN.」。
本モデルからは日本だけでなく海外でも初めてグローバル販売される予定。
セダンに加え、ハッチバックモデルのスポーツ、
セダンとSUVを融合させたクーペライクシルエットを特徴とするクロスオーバー、
そして、SUVモデルとして約15年ぶりの名称復活を果たすエステートの4つのバリエーションへ刷新され、
先陣を切る形でクロスオーバーが同年秋から発売される
(発売当初は「CROSSOVER RS"Advanced"」、「CROSSOVER G"Advanced・Leather Package"」、
「CROSSOVER G"Advanced"」の3つのみとなり、それ以外は2023年1月生産開始予定)。
パワートレインは2種類のハイブリッドシステムが用意され、
1つは15代目のTHS IIをベースにクロスオーバーに合わせて最適化するとともに、
ニッケル水素電池を2代目アクアに導入されたバイポーラ型に変更したシリーズパラレル方式、
もう1つは直列4気筒の2.4 LターボエンジンT24A-FTS型に、
後輪に搭載された電動パワートレイン「eAxle」とバイポーラ型ニッケル水素電池を組み合わせた
トヨタ初採用のデュアルブースト方式が採用される。
装備面では、13代目(S20#型)ハイブリッドシリーズ以来となる12.3インチカラーTFTメーター
+マルチインフォメーションディスプレイを全車に搭載し、
エントリーモデルの「CROSSOVER X」では14代目(S21#型)ロイヤル/アスリートベースモデル以来の
ディスプレイオーディオレスになった。
クロスオーバーのグレード体系は
スタンダードモデルの「CROSSOVER X」、ハイグレードモデルの「CROSSOVER G」、
ハイブリッドターボモデルの「CROSSOVER RS」が基本となり、
「CROSSOVER G」と「CROSSOVER RS」には
カラーヘッドアップディスプレイなどの装備追加を行った"Advanced"、
「CROSSOVER G」にはシート表皮を本革仕様とし、
ヘッドランプを4眼に変え、後席シートヒーターを追加した"Leather Package"や
"Advanced"の装備をプラスした"Advanced・Leather Package"も設定される。
また、同日にアメリカでも1972年以来となるクラウン導入が発表された。
アメリカ仕様も日本仕様同様2種類のハイブリッドシステムが導入され、
グレードは「XLE」「Limited」「Platinum」の3グレードとなる。
日本仕様との大きな違いとして、
日本仕様はフロント・アルミホイールのセンターキャップ・ステアリングに王冠ロゴが配されているが、
アメリカ仕様ではトヨタエンブレムとなる。










(  )は先代比

世代 キャッチコピー データモデル 全長
mm
全幅
mm
全高
mm
重量
kg
ホイールベース
mm
ロンドンからトヨペットで RS 4,285 1,680 1,525 1,210 2,530
クラウンによせられる信頼 セダンデラックス 4,610
(+325)
1,695
(+15)
1,460
(-65)
1,265
(+55)
2,690
(+160)
白いクラウン セダンスーパーデラックス 4,665
(+55)
1,690
(-5)
1,445
(-15)
1,305
(+40)
2,690
エレガンツ・クラウン-世界が見つめる セダン2600スーパーサルーン 4,680
(+15)
1,690 1,420
(-25)
1,360
(+55)
2,690
美しい日本のクラウン セダン2600ロイヤルサルーン 4,765
(+85)
1,690 1,440
(+20)
1,470
(+110)
2,690
美しい日本の新しいクラウン 2800ロイヤルサルーン 4,860
(+15)
1,715
(+25)
1,410
(-30)
1,500
(+30)
2,690
いつかはクラウン セダン2800ロイヤルサルーG 4,860 1,720
(+5)
1,420
(+10)
1,495
(-5)
2,720
(+30)
満たされて、新しいクラウン 3000ロイヤルサルーンG 4,860 1,745
(+25)
1,400
(-20)
1,670
(+175)
2,730
(+10)
すべては、クラウン 3000ロイヤルツーリング 4,800
(-60)
1,750
(+5)
1,440
(+40)
1,620
(-50)
2,730
10 美しく、走る 2500ロイヤルサルーン 4,820
(+20)
1,760
(+10)
1,425
(-15)
1,500
(-120)
2,780
(+50)
11 21世紀へ、このクラウンで行く 2500アスリートV 4,820 1,765
(+5)
1,445
(+20)
1,680
(+180)
2,780
12 ZERO CROWN
かつてゴールだったクルマが、いまスタートになる
ロイヤルサルーンG 4,840
(+20)
1,780
(+15)
1,470
(+25)
1,550
(-130)
2,850
(+70)
13 超えてゆく、ブランド ロイヤルサルーンG 4,870
(+30)
1,795
(+15)
1,470 1,590
(+40)
2,850
14 CROWN Re BORN ロイヤルサルーン 4,895
(+25)
1,800
(+5)
1,460
(-10)
1,590 2,850
15 CROWN BEYOND RS仕様 4,910
(+15)
1,800 1,455
(-5)
1,690
(+100)
2,920
(+70)
16 DISCOVER YOUR CROWN CROSSOVER G 4,930
(+20)
1,840
(+40)
1,540
(+85)
1,750
(+60)
2,850
(-70)





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